時をかける(日本の)少年少女
えーっと、このページは本格的にネタバレしますので、今回の「時をかける少女」まだ見ていない方は読まない方がいいです。
日本人の(アジア人のかもしれませんが)精神構造として、子どもから大人になるまでの間に恋愛を成就させるのが難しい、非常に大きな壁があります。
「気恥ずかしい」ってヤツです。
欧米と違ってカップル文化が社会的に認識されてないので、前思春期以前(幼稚園~小学生低学年)ならお手手つないでも許されますが、8歳にもなろうものなら、川岸でカップル見つけてからかうことなど必定。「となりのトトロ」のサツキとカンタの関係が日本人の子どもです。
おそらく、千昭が現れる前の真琴と功介の関係もそうだったはず。真琴は恐ろしく精神年齢が低い少女なんですが、千昭も子どもっぽい。未来人の千昭は、野球オタクの11歳?って感じです。3人の中で一番、精神年齢が高いのが医学部志望の功介。真琴の女としての成長は極めて低く色気より食い気です。プリンや鉄板焼きがおいしそうなアニメ。もちろん、千昭が気になる同級生の友梨ちゃんの方が女として上だし、下級生の果穂ちゃんにも抜かされそうな気配。そう、果穂ちゃんが功介に告白するところで最初の分岐点が発生するんですね。
このイベントが起きてしまうと「功介に彼女ができたら、俺と付き合わない?」という千昭の告白が起きてしまう。真琴がどんなに時を戻ってもやり直しても、功介に彼女ができると否応なく運命は進んでしまう。「誰も大人になるのを止めることはできない」という青春期の必定を遠慮呵責なくこの物語は教えてくれます。バックに流れているピアノ曲も良かった。
とはいえ、大人になりたくない、このままでいたい真琴の気持ちはよく理解できるし、結局真琴が千昭から逃げ回っているうちに、友梨ちゃんが千昭に大接近。この脚本はよくできていて、今度は功介が真琴に接近するのかなと思ったら、タイムリープして模擬試験で良い点を取った真琴を功介がライバル視。それを果穂ちゃんの親友二人に責められ、困った真琴はまたもや何度もタイムリープ。この狂言回し的な親友二人もすごくいいキャラクターです。
原作「時をかける少女」の和子の性格設定は古いです。さすが40年前に書かれていただけあって、私が読んだ時でさえあの言い回しは古かった。吾朗ちゃんの「芳山くんは母性愛過多だな」ってー。大林監督の原田知世版ではさすがに「芳山くんは生意気だな」になってました。
今回の「時をかける少女」は日本人同士だと”痒くなっちゃう”少年少女の恋愛をうまく描いたなあと感心しています。
大林版だと男性視点で、まあケン・ソゴルが吾朗ちゃんよりずっと大人だし、頼りになるから物語上破綻はないんですが、思い出泥棒って感じだし、憧れから恋へ移行するところが今ひとつ女性からみるとわからないんですよ。
もともと違う時空間に生きる以上、絶対的に悲恋に終わるはずの「時をかける少女」です。今回は少女の成長に力点を置いた脚本、演出が大成功です。宮崎駿氏が描こうとして描ききれなかった前思春期から思春期への移行をみごとに果たしています。
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